東京大学医学系研究科精神保健学分野・デジタルメンタルヘルス講座では、新型コロナウイルス感染症の流行開始後の2020年3月から全国一般労働者1,488人を対象にオンラインで追跡調査を実施しています。日本での新型コロナウイルス感染症に対する企業内対策の実施状況を業種別・企業規模別に明らかにするとともに、メンタルヘルスの推移を観察し、その悪化や改善の要因を探索することを目的としています。「コロナ不安」や「職場でのコロナハラスメント」の頻度も追跡しています。

この調査により明らかになったデータを用いて、職場での新型コロナウイルス感染症対策の推進や、労働者のメンタルヘルス対策に活かされることを願っております。

当ページはリンクフリーですが、情報の引用の際には「東京大学医学系研究科精神保健学分野・デジタルメンタルヘルス講座 『新型コロナウイルス感染症に関わる全国労働者オンライン調査』より URL: https://dmh.m.u-tokyo.ac.jp/e-coco-j/ 」と記載をお願いします。すでに論文化されている内容に関しては、その書誌情報を引用してください。



これまでの研究でわかったこと


コロナ禍でのラインケア、セルフケア動画

 動画のページ

研究発表

第6回調査より
オンラインでの長時間労働者の医師面接,休職・復職の面談の満足度は低く,面談の質を低下させないよう配慮・工夫が必要。
小川 明夏, 友永 遥, 佐々木 那津, 黒田 玲子, 津野 香奈美, 今村 幸太郎, 川上 憲人. 新型コロナウイルス感染症流行下におけるオンラインでの産業保健面談の経験,満足度および課題:労働者を対象とした横断調査. 産業衛生学雑誌

第1回、第2回、第3回、第4回調査より
2020年3月から11月にかけて、医療従事者では非医療従事者と比較して、新型コロナウイルス感染症に関連した職場のハラスメントおよびカスタマーハラスメントを経験しやすい。
Iida, M., Sasaki, N., Imamura, K., Kuroda, R., Tsuno, K., & Kawakami, N. (2022). COVID-19-related workplace bullying and customer harassment among healthcare workers over the time of the COVID-19 outbreak: A eight-month panel study of full-time employees in Japan. Journal of Occupational and Environmental Medicine. doi: 10.1097/JOM.0000000000002511

第2回調査より
新型コロナウイルス感染症に関連した職場および患者さんからのハラスメントは、医療従事者の心理的苦痛と関連していた
Asaoka H, Sasaki N, Kuroda R, Tsuno K, Kawakami N. Workplace Bullying and Patient Aggression Related to COVID-19 and its Association with Psychological Distress among Health Care Professionals during the COVID-19 Pandemic in Japan. Tohoku J Exp Med. 2021;255(4):283-289.

第1回、第2回、第3回調査より
2020年5月から8月にかけて女性・若年・高学歴の労働者で希死念慮が増加しており、若年・精神疾患の既往歴・5月の希死念慮が8月の希死念慮と関連していた
Sasaki, N., R. Kuroda, K. Tsuno, K. Imamura and N. Kawakami (2021). "Increased suicidal ideation in the COVID-19 pandemic: an employee cohort in Japan." BJPsych Open 7(6): e199.

第1回、第2回、第3回、第4回調査より
職場での新型コロナウイルス感染症対策の実施数は2020年3月から5月は増加したが、2020年8月から11月では減少した
Asaoka H, Sasaki N, Imamura K, Kuroda R, Tsuno K, Kawakami N. Changes in COVID-19 measures in the workplace: 8-month follow-up in a cohort study of full-time employees in Japan. J Occup Health. 2021;63(1):e12273.

第1回、第2回、第3回調査より
新型コロナウイルス感染症に対する心配や懸念は、感染拡大が始まった2020年3月から初回緊急事態宣言後の2020年8月にかけて増加
Hidaka Y, Sasaki N, Imamura K, Tsuno K, Kuroda R, Kawakami N. Changes in fears and worries related to COVID-19 during the pandemic among current employees in Japan: A five-month longitudinal study. Public health. 2021 Jul 3.

第1回、第2回調査より
新型コロナウイルス感染症に関連した職場のハラスメントは2020年3月から5月にかけて増加しており、肉体労働者、高学歴の者、慢性疾患を持つ者において経験しやすい
Iida M, Sasaki N, Kuroda R, Tsuno K, Kawakami N. Increased COVID-19-related workplace bullying during its outbreak: a 2-month prospective cohort study of full-time employees in Japan. Environ Occup Health Practice. 2021; 3: eohp.2021-0006-OA.

第1回、第2回、第3回、第4回調査より
一般労働者と比較して、医療従事者のメンタルヘルスは2020年3月から11月にかけて悪化傾向が持続している
Sasaki N, Asaoka H, Kuroda R, Tsuno K, Imamura K, Kawakami N.Sustained poor mental health among healthcare workers in COVID-19 pandemic: A longitudinal analysis of the four-wave panel survey over 8 months in Japan.J Occup Health 63(1): e12227.

新型コロナウイルス感染症流行と労働者の精神健康:総説が産業医学レビューに掲載になりました
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ohpfrev/34/1/34_17/_article/-char/ja/

第2回、第3回調査より
新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)が心理的ストレスを減らす
Kawakami N, Sasaki N, Kuroda R, Tsuno K, Imamura K. The Effects of Downloading a Government-Issued COVID-19 Contact Tracing App on Psychological Distress During the Pandemic Among Employed Adults: Prospective Study. JMIR Ment Health 2021;8(1):e23699.
上記研究は東京大学よりプレスリリースが行われています。資料はこちら(PDF) 。

第1回、第2回、第3回調査より
高学歴労働者と比較して、低学歴労働者では2020年3月~8月にかけてメンタルヘルスが悪化している
Sasaki N, Kuroda R, Tsuno K, Imamura K, Kawakami N. Deterioration in Mental Health Under Repeated COVID-19 Outbreaks Greatest in the Less Educated: A Cohort Study of Japanese Employees. J Epidemiol. 2020.

第1回、第2回調査より
一般労働者と比較して、医療従事者では2020年3月から5月にかけてメンタルヘルスが悪化している
Sasaki N, Kuroda R, Tsuno K, Kawakami N. The deterioration of mental health among healthcare workers during the COVID-19 outbreak: A population-based cohort study of workers in Japan. Scand J Work Environ Health. 2020.

第1回調査より
職場での新型コロナウイルス感染症対策が多いほど、労働者のメンタルヘルスが良く、パフォーマンスも高い
Sasaki N, Kuroda R, Tsuno K, Kawakami N. Workplace responses to COVID-19 associated with mental health and work performance of employees in Japan. J Occup Health. 2020; 62(1): e12134.

職場での新型コロナウイルス感染症対策の実施数は特に小売業・卸売業、運輸業で少なく、50人未満の小規模事業場で少ない
Sasaki N, Kuroda R, Tsuno K, Kawakami N. Workplace responses to COVID-19 and their association with company size and industry in an early stage of the epidemic in Japan. Environmental and Occupational Health Practice. 2020; 2(1).
上記2研究は東京大学よりプレスリリースが行われています。資料はこちら(PDF)

新型コロナウイルス感染症に関する情報源としてテレビとWebメディアを利用している人では、コロナ不安が高い
Sasaki N, Kuroda R, Tsuno K, Kawakami N. Exposure to media and fear and worry about COVID-19. Psychiatry Clin Neurosci. 2020.



調査の概要

研究名称
新型コロナウイルス感染症に関わる全国労働者オンライン調査

研究目的
日本における新型コロナウイルス感染症に対する企業内対策の実施状況の把握と労働者のメンタルヘルスやパフォーマンスに関わる要因の解明

調査の方法
調査の方法
研究助成
本研究は東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野運営費により実施されています。

倫理審査
本研究は東京大学大学院医学系研究科・医学部倫理委員会の承認に基づき実施されています。
課題名:ストレスチェック制度による労働者のメンタルヘルス不調の予防と職場環境改善効果に関する研究
審査番号:No. 10856-(2)(3)(4)(5)

連絡担当者
佐々木那津(東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野 博士課程)
nasasaki-tky [at] umin.ac.jp
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学大学院医学系研究科 精神保健学分野(医学部3号館秘書室)

研究体制

研究代表者
川上憲人(東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座 特任教授)

研究分担者
黒田玲子(東京大学環境安全本部 准教授)
津野香奈美(神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科 准教授)
西大輔(東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野 教授)
今村幸太郎(東京大学大学院医学系研究科 デジタルメンタルヘルス講座 特任准教授)
澤田宇多子(東京大学大学院医学系研究科精神看護学分野 特任助教)
佐々木那津(東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野 助教)
日高結衣(東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野 博士課程)
飯田真子(東京大学大学院医学系研究科精神看護学分野 博士課程)
浅岡紘季(東京大学大学院医学系研究科精神看護学分野 博士課程)
降旗理花(元東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 専門職学位課程)
大藪佑莉(元東京大学大学院医学系研究科精神看護学分野 修士課程)
小川明夏(東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻 専門職学位課程)
友永遥(元東京大学大学院医学系研究科精神看護学分野 修士課程)
野沢恭介(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻 助教)