【共同研究成果発表】ストレスチェック集団分析結果に基づく健康経営アウトカムシミュレーターの開発

東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座と日本生命保険相互会社とは、共同研究の成果である「ストレスチェック集団分析結果に基づく健康経営アウトカムシミュレーターの開発」に関する口演発表を、第31回日本産業ストレス学会(2023年12月8日(金)~ 9日(土);一橋大学一橋講堂;大会長 廣川 進、東川麻子)で行いました(抄録は以下)。

本研究成果を活用した職場環境分析サービス「SAAGAS(サーガス)」が日本生命保険相互会社により開発・提供開始される予定です。詳細は日本生命保険相互会社からのプレスリリースをご覧ください。


第31回日本産業ストレス学会抄録集から抜粋

[演題名]
ストレスチェック集団分析結果に基づく健康経営アウトカムシミュレーターの開発

[発表者、共同研究者氏名]
○川上憲人1)、櫻谷あすか1)、今村幸太郎1)、飯田真子2)、礒野浩嗣3)、権太圭吾3)

[所属機関名]
1) 東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座
2) 東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野
3) 日本生命保険相互会社

[抄録本文]
はじめに:ストレスチェックの集団分析では、健康リスクに関する数量的な分析は「仕事のストレス判定図」に限定されており、その情報を十分に活用できていない。本研究では、職業性ストレス簡易調査票(57項目)のうち12の職場環境要因尺度の集団分析得点を用いて、その組織の1年後の健康および生産性に関するアウトカム(健康経営アウトカム)をシミュレーションする計算アルゴリズムを開発した。

対象と方法:健康経営アウトカムとして、精神健康[心理的ストレス反応(得点)、高ストレス者(該当)、うつ病の発症(有り)]、ウェルビーイング[仕事満足度(高)、ワークエンゲイジメント(得点)]、生産性[アブセンティズム(月5日以上)、生産性(0-10点)]の7つを取り上げた。4つの縦断調査データ(合計追跡対象者6,732人)を解析し、12の職場環境要因尺度の得点により、各健康経営アウトカムを予測する線形モデルを作成し、元データおよびこれと異なるデータにおける予測精度を検討した。:1)職場環境要因尺度の重み付けを重回帰モデルで行った場合、2)単回帰モデルで行った場合、3)前者から5%の危険率で有意でない変数を除外した場合、4)有意な場合にはさらに属性(性別、年齢、職種)による重み付けの修飾を追加した場合の4つのモデルを比較した。

結果:元データ、別データとも予測精度はモデル1が良好であったが予測値の標準偏差が極端に小さくなる傾向があった。それ以外ではモデル3ないし4の予測精度が良好であった。

考察:職場環境要因に単回帰モデルで重み付けを行い、必要な場合には性別、年齢、職種により重みを修正したモデルが適切と思われた。このモデルにより健康経営アウトカムシミュレーターを開発することで、ストレスチェック集団分析の有効活用につながると期待される。

謝辞:本研究は、東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座と日本生命保険相互会社との共同研究である。